1. 平成12年(ワ)第39号 手数料等請求本訴事件
2. 平成12年(ワ)第20850号 損害賠償請求反訴事件
1.事件原告、2.事件被告 佐藤 一雄 外2名
1.事件被告、2.事件原告 臼井 芳雄
準 備 書 面(8)
2003年11月13日
東京地方裁判所民事第49部 合議C係 御中
1.事件被告、2.事件原告訴訟代理人
弁 護 士 橋 下 徹
記
第1 本訴被告の損害中国出願を勝手に中止されたことによる損害
平成13年12月18日付け本訴被告第3準備書面、一に記載のとおり
b 田北鑑定(乙15号証))
<鑑定対象>
平成10年5月21日付け喫煙具にかかる委任状の印章(乙18号証中の委任状)
<鑑定結果>
偽造
<偽造の根拠についての補足>
本訴被告臼井が普段用いている朱肉の色(普段の印影の朱の色)と、平成10年5月21日付け委任状の印影の朱の色が異なる。
c 大美鑑定(日本宝石科学協会筆跡鑑定部)(乙16号証)
鑑定対象、鑑定結果は田北鑑定と同じ。
偽造と結論付けられている。
d清山鑑定(鑑定証第302号)(乙20号証)(乙46号証)
<鑑定対象>
平成10年5月21日付委任状(乙18号証中)
<鑑定結果>
3つの日付は別々に書かれたものであるが同一人の筆跡である。
<本訴被告の主張>
鑑定書添付資料において、バーコードが付いている資料3の委任状が、特許庁に実際に出されているものである。印章が偽造であることは上記田北鑑定及び大美鑑定の結果のとおり。
本訴被告は、協和特許法律事務所に対して、本件喫煙具出願にかかる委任状は一切出していない。突如、協和特許法律務所が、本訴被告に対して、委任状のコピーを2通郵送してきた。
ここで、問題なのは、本訴被告に対して郵送されてきたものは、特許庁に提出された委任状のコピーではなかったということである。
通常であれば、特許庁へ提出された委任状の控え(コピー)を送ってくるはずである。
特許庁へ提出されているのものは、乙18号証中の平成10年5月21日付け委任状である。右上にバーコードが印刷されている。
ところが、本訴被告に対して郵送されてきたものは、乙20号証中の添付資料1及び2である。右上にバーコードの印刷がない。
さらに、特許庁へ実際に提出された委任状と、この本訴被告に対して郵送されてきた2通の委任状の、日付は、同一人の筆跡であるが、それぞれがオリジナルである。特に、本訴被告に対して郵送された2通の委任状の日付は全て、ボールペン書きされていた。
そうすると、3通とも、独立の委任状であり、いずれも原本、コピーの関係にない。
ただし、特許庁に提出されたものと、本訴被告に対して郵送されてきた2通は、印鑑の押し方、角度が全く同じである。
つまり、日付を除いては、特許庁へ提出された委任状と、本訴被告へ郵送されてきた委任状は原本・コピーの関係にある。
このような事態は不自然極まりない。
通常であれば、特許庁に提出されたものをコピーするので、特許庁に提出されたものの写しが本訴被告に対して郵送されてくるはずである。しかしながら、日付欄がボールペンで書かれているオリジナルのものであることから、本訴被告に対して郵送されてきたものは、特許庁に提出された委任状のコピーではない。
考えられる事情としては、特許庁に提出された委任状が日付空欄の状態のときにコピーされており、後日2通分に日付を入れて、本訴被告に対して郵送されたという事態。
しかし、この事情は不自然極まりない。
弁理士が、依頼者より日付空白の委任状原本を複数枚取り付けることはあるかもしれないが、日付空白の委任状をわざわざ予めコピーしておくことはない。使い道がないからである。
もし本訴原告らが、委任状のコピーを取っていたのであれば、本来であれば、乙18号証中の委任状=特許庁へ提出されたもの(バーコードあり)のコピーが存するはずである。
強引に仮定すると、日付空白の委任状原本が複数枚、本訴被告から本訴原告らに対して交付されており、本訴原告らが保有しているものをコピーした上、日付のみが記入されたという事態も考え得るが、これも不自然極まりない。
わざわざ保有している委任状原本をコピーする必要性は全くない。
しかも、乙20号証添付資料をみると、特許庁へ提出された委任状(バーコードあり)と、本訴被告に対して郵送されてきた2通は、印鑑の角度、押し方が、全く同じである。
とすると、日付空白の委任状原本を本訴原告らが利用して、本訴被告に対して郵送したわけではない。
やはり、日付を除けば、特許庁へ提出された委任状と、本訴被告へ郵送されてきた委任状は、原本・コピーの関係にある。
そうすると、特許庁へ提出された委任状について、日付が空白の状態のまま、本訴原告らが複数枚コピーし、後に日付を記入したと考えるしかない。しかし何度も言うが、その行動は理解不能である。
e鑑定証第304号(乙21号証)(乙47号証)
本訴原告らは、平成10年5月21日付け本件喫煙具にかかる委任状が偽造であるかどうかは争わないと主張している。なぜなら当該委任状は本訴被告自身から送られてきたので、印影が誰の意思で顕出されたかは問題ないという理由に基づく。
そして本訴被告自身から当該委任状が本訴原告ら宛に送られてきたという事実の裏付けとして、甲12号証の2の封筒が証拠として提出されている。
封筒の消印は、平成10年5月20日で、当該委任状の日付は、平成10年5月21日である。
しかし、かかる封筒の消印は非常に不自然である。
本訴被告は、協和特許法律事務所の担当者である玉真氏に対して、本件以前に数多くの封書を送っている。本訴被告は、協和特許法律事務所に対して、特許申請を全てお願いしていたからである。当然、甲12号証の2と同じ封筒も、何度も送っている。
しかし、平成10年5月20日頃に、委任状を送付したということは絶対にない。
とすると、甲12号証の2の封筒は、これまでに本訴被告から送られてきた封筒に消印の細工が施され、あたかも平成10年5月20日頃に、本訴被告から協和特許法律事務所へ封書が送られてきたような事実を捏造するために作成されたものと考えざるを得ない。
この消印の不自然性について鑑定を行ったのが、鑑定証第304号である。
封筒が偽造されたとする根拠について鑑定書を補足すると以下のとおりである。
まず、
ア)消印の数字がおかしい。12(時)から13(時)というものはない。この点は、杉並郵便局に確認済みである。甲12号証の2は、「13」なのか「18」なのか判然としないが、原本を見れば分かる。そのためにも封筒原本の提示を本訴原告らに求める。
イ)消印が楕円になっている。本来は真円である。
しかし、甲12号証の2は、切手の端の部分まできっちりと貼られていた。
「こんな貼り方はしない。」と法廷で言った後の2、3ヵ月後、本訴原告は、一旦法廷で示した甲12号証の2の原本と異なる甲12号証の2の原本を出してきた。新たに出してきたのは切手を乱雑に貼ったものである。
切手を貼りかえることは無理なので、甲12号証の2の原本は2つある可能性が高い。
消印を偽造できるのであれば、原本が2つ存在することも考えられる。
甲12号証の2の写しは、切手がきっちりと貼られているので、原本が、切手の貼り方が乱雑なものだと、その原本は、写しと、合わなくなるはずである。
f鑑定証第308号(乙24号証)(乙48号証)
<鑑定対象>
平成9年2月5日付けクラッシャブルプラスチックボトル出願にかかる委任状。
<鑑定した動機>
同委任状3項「請求」の部分に訂正印が押されていたので。
本訴被告は、こんなところに絶対に訂正印など押さない。
<鑑定結果>
平成9年2月5日付け委任状の印章は、偽造されたものである。
<本訴被告の主張>
本訴原告らは、偽造されたかどうかは関係ないと主張する。
なぜなら当該委任状は本訴被告自身から送られてきたので、印影が誰の意思で顕出されたかは問題ないという理由に基づく。
そして本訴被告自身から当該委任状が本訴原告ら宛に送られてきたという事実の裏付けとして、甲19号証の封筒が証拠として提出されている。
封筒の消印は、平成9年2月4日で、当該委任状の日付は、平成9年2月5日である。
しかしながら、この封筒も捏造されたものである。
甲12号証の2と事情は同じである。本訴被告臼井が、協和特許法律事務所宛に、それまでに無数の封書を送っていることを考えると、協和特許法律事務所が封筒を捏造した可能性も完全に否定できない。
そして、甲19号証について鑑定を行ったものが鑑定証第403号(乙26号証)である。
<鑑定対象>
甲19号証の封筒
<鑑定結果>
甲19号証の封筒の消印、証紙は偽造されたものである。
<鑑定書における偽造の根拠の補足>
ア)本訴被告は、甲19号証に貼られているような石原裕次郎氏肖像の切手など絶対に使わない。そもそも石原裕次郎氏肖像の切手など持っていない。本訴被告は。石原裕次郎氏に対してものすごく嫌悪感を有している。
イ)切手の石原裕次郎氏の顔の部分に白いものが貼られているが、不明。何が貼られていたのか疑問である。
ウ)切手の下に、きっちりと書留の証紙が貼られている。あまりにもきっちりと貼られすぎて、かえって不自然である。通常、書留の証紙は、郵便局員の手作業で貼られる。とすれば、切手に一部かかる場合もあるであろうし、そうでなければ切手と間が空いた形で貼られるであろう。切手の下辺と合わせて、隙間なくきっちりと貼られることなど、よほど意図して貼らない限りあり得ない。
エ)「簡易書留の印」の位置もおかしい。切手、証紙、「簡易書留の印」があまりにも隙間なくきっちりと並べられている。よほど意図してやらなければこのような配置にはならないはずである。
そして微妙ではあるが、「簡易書留の印」の上に、書留の証紙が貼られている。このようなことは絶対にあり得ない。
書留の証紙を貼った後に簡易書留の印を押すので、証紙の上に印がかぶることはあってもその逆つまり、印の上に証紙がかぶることはあり得ない。
既に書留の印が押されているものの上に、証紙を貼ったという不自然極まりない作出経緯によっている。
カ)書留にするときには、わざわざ切手を貼ることはない。どのみち証紙で郵便料を払うのであるから、予め切手を貼るようなことはしない。郵便局に封筒を差し出して、あとは郵便局に証紙を貼ってもらい、書留の印を押してもらう。
x@ 実願平03−106333号 <霧水量測定装置>
協和特許法律事務所は、ありもしない実用新案を作り出して、本訴被告に対して費用の請求をかけてきている。
委任状が絶対必要であるはずだが、委任状がない。委任状がなく実用新案登録手続きが進んでいた。
特許庁も信じられないと言っている模様である。
登録査定までいったが、本訴被告の登録料の納付がないということで却下された。
甲4号証の1はこの出願にかかる費用請求であるが、本訴被告と本訴原告らの間には、委任契約書は何も存在しない。
xA 特願平03−290110号
平04−175548号
<圧潰性(クラッシャブル)缶>
最初の特許出願(平成3年11月6日・特願平03−290110号)において、協和特許法律事務所は、ダミーの出願を出した。
すなわち、この特許は、「蛇腹」に「筋目」が入って発明が完結する。
そして、本訴被告は、協和特許法律事務所に対して、「蛇腹」+「筋目」という完結した発明を伝えていた。
にもかかわらず、協和特許法律事務所は、最初の出願の請求項には「蛇腹」しか記載しなかった。不完全な請求項の書き方になっていた。ただし、図面には「筋目」を入れていた。これは後に、国内優先権の主張を用いるための策略である。
本訴被告は、協和特許法律事務所に対して、初めから、「筋目」を伝えていたのに、「筋目」が請求項に載っていないことを理由に、補正されること自体が納得できない。
最初の出願の翌年である平成4年7月2日に至って、協和特許法律事務所は、国内優先権の主張を使って、「筋目」を加え、発明を完結させた(特願平04−175548号)。
このような出願の方法を採ることによって、協和特許法律事務所は、出願料を2出願分請求できる。本来、一回の出願でいいところを、2回の出願を行うのである。
この2回目の国内優先権の主張を使った出願において、本訴被告の委任状が必要になる。
しかしながら、委任状がないままで、手続きが通ってしまっている。これは、特許庁のミスでもある。このような委任状なしの手続き進行という信じられない事態が特許庁でまかり通っている。これは特許庁と特定弁理士の人間関係に基づくものである。
このようにして、本来は、一回の特許出願で済むところを、協和特許法律事務所は、故意に国内優先権の主張を使って、2回の出願に分けている。そして、協和特許法律事務所は、本訴被告に対して、2倍の手続き費用を請求し、本訴被告は請求されるままに支払った。
xB 特願平09−042501号
平10−045711号
<喫煙具>
当初の出願は完結していなかった。
当初の出願は平成9年2月26日(特願平09−042501号)。
本訴被告は、発明を完成させるために、協和特許法律事務所に対して、平成9年7月16日に実施例の追加を頼んだ。
本訴被告は、同年8月くらいには、実施例が追加されるものと思っていた。ところが一向に追加されておらず、平成10年2月26日に、平成9年2月26日の出願と全く同じ出願が国内優先権の主張を利用して出されていた(特願平10−045711号)。
この後の出願は、実施例の追加が全くないもので、全く無意味な出願である。先の出願と全く同じものである。
平成10年5月1日に、国内優先権主張の代理権を証する書面が出ていないということで、特許庁より拒絶通知が出された。
協和特許法律事務所はあわてて、同年5月21日付の、偽造の委任状を提出した。
本訴被告臼井は、この1年の間に、誰が発明しているかも分からないので、この発明は放棄した。
にもかかわらず、協和特許法律事務所は、審査請求をした。
そして、本訴被告臼井からの指示のような文書を偽造している(甲23号証)
あて先の「法律」の「法」という文字が不自然極まりない。旁が、律のものとなっている。
結局特許査定は出なかった。
3. 本件訴訟における究極の争点
協和特許法律事務所すなわち本訴原告らという、法律業務のプロが、依頼者である本訴被告との間において、明確な委任契約書を一切作成していなかったことが全ての紛争原因である。
また依頼者である本訴被告に対しての報告も全て口頭で行われており、杜撰極まりない。
最も重要なことは、本件クラッシャブルプラスチックボトルの中国出願手続きを中止させるという重大な行為についてさえ、依頼者である本訴被告の意思表示書又は同意書等、明確な書面を何も取り付けていない。
これが法律のプロの行うことかと目を疑うばかりである。
このように明確な委任契約書や、手続き中止についての書面がなかったがために、紛議が生じたのが本件である。
本訴原告らは、自らの事務所の業務管理コンピューターの記録を証拠として提出するが、こんなものは何らの証拠価値もない。
こんなものに報酬請求権の根拠を与えてしまったら、本訴原告らが入力さえすれば無条件に報酬が発生することになってしまう。仮に、実際の委任があったとしても、事前に報酬について明確に定められていないのだから、協和特許法律事務所の言い値で報酬が決まってしまう。
このような不合理なことが、卑しくも法律家たる業務において許されるはずがない。
委任契約は、原則は、無償である。
明確な特約がない限り、無償である(民法648条)。
この法律の大原則に立ち返り、杜撰な事務処理をしていた協和特許法律事務所の業務を適正にさせるべく、本訴原告らの本件請求は一切認めるべきでない。
本訴原告らの本件請求を認めてしまうと、法律のプロが、法律の素人を、好き勝手にすることを許すことになってしまう。
本訴原告らは、卑しくも法律のプロ中のプロである以上、特約なき限り受任者の報酬は発生しないことを認識すべきである。
そして、弁護士・弁理士たる者、一旦受任を受けた業務に関して、手続きを中止するなどの場合には、依頼者の利益の観点から、明確に書面を取り付けておくのは当然の行為である。弁護士・弁理士に依頼するような事項は、依頼者にとって重要な事項であり、特に特許に関しては、莫大な利益・損失にかかわる。ゆえに、弁護士・弁理士の報酬は、他の士業に比較して高額に設定されているのである。弁護士・弁理士の失敗は、依頼者にとって著しい損失を招く。したがって、手続きを中止するなど、依頼者の多大な不利益につながるような行為については、しっかりと書面に残しておく必要がある。
今回、本訴原告らは手続きの中止について何の書面も残していなかった。これによって紛議が生じ、本訴被告には計り知れない損失が生じた。書面を残していなかった不利益は、法律のプロである本訴原告らが負担すべきである。
第3 求釈明及び本訴被告の申立て予定
1. 乙20号証添付資料1及び2の委任状を、本訴被告へ郵送した経緯。特に、郵送された委任状2通はどのように作成されたのか。
2. 甲12号証の2の原本の提示要求並びにその消印、切手の貼付態様及び住所・あて名の文字についての鑑定申立て。
3. 甲19号証の原本の提示要求並びに切手の貼付態様及び証紙についての鑑定申立て。
以上


